外壁塗装の種類は何がある?塗料7種の違いと選び方

外壁塗装の種類は、塗料に使われる樹脂(塗膜のもとになる成分)の違いで、主に7種類ほどに分かれます。迷ったら費用と耐用年数のバランスがよいシリコン系を基準にし、住む年数と予算で上下を決めると選びやすくなります。
見積もりで「シリコン」「フッ素」「無機」と塗料の名前を並べられても、何がどう違うのか分かりにくいものです。高い塗料を選ぶべきか、安い塗料で十分なのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
塗料の種類が変わると、1回の工事費だけでなく、次の塗り替えまでの年数も変わります。そのため、長い目で見た費用まで含めて考えることが大切です。種類ごとの違いを知っておくと、業者に相談する前に自分の希望をはっきりさせられます。
この記事では、外壁塗装に使う塗料の種類ごとの特徴と、費用・耐用年数の目安を表で比べます。30坪の家を例に、塗料による金額の差も計算しました。あわせて、水性・油性といったほかの分け方や、外壁材との相性も紹介します。
後半では、あと何年住むかや立地から自分の家に合う種類を選ぶ手順と、見積書で確かめたい点をまとめています。業者の提案が妥当かどうかを判断する材料として、お役立てください。
外壁塗装の種類にはどんな塗料がある?

外壁塗装の種類は、塗料に含まれる「樹脂」の違いで大きく7つほどに分かれます。安い順にアクリル・ウレタン・シリコン・ラジカル・フッ素・無機と並び、ここにナノテクなどの新しい塗料が加わります。
見積もりで「シリコンです」「無機です」と言われても、何が違うのか分かりにくいですよね。この章では、それぞれの塗料がどんな特徴をもつのかを順番に整理します。金額と年数の詳しい比較は、次の章でまとめています。
塗料の種類は「樹脂」で決まる?
塗料は大きく4つの材料でできていて、塗料の長持ちの度合いを左右するのは主に樹脂です。樹脂は、塗ったあとに固まって膜(塗膜)になる成分を指します。
| 材料 | 役割 |
|---|---|
| 樹脂 | 固まって塗膜になり、外壁を守る中心の成分 |
| 顔料 | 色のもとになる粉 |
| 溶媒 | 樹脂や顔料を溶かし、塗りやすくする液体 |
| 添加剤 | カビを防ぐなど、性能を足すための成分 |
この4つの役割は、塗料メーカーによる塗料の成分の解説でも説明されています。色は顔料で決まり、塗りやすさは溶媒で変わります。
一方で、紫外線や雨にどれだけ耐えられるかは、樹脂の種類でほぼ決まります。そのため「シリコン塗料」「フッ素塗料」のように、樹脂の名前がそのまま塗料の種類の名前になっています。見積書の塗料名を見るときは、まず樹脂の名前を探すと分かりやすくなります。
同じ樹脂の塗料でも、商品によって性能には差があります。それでも樹脂の名前が分かれば、おおよそのグレードはつかめます。まずは「どの樹脂の塗料か」を知ることが、種類選びの第一歩です。
アクリル・ウレタンは安いが塗り替えが早い?
アクリルとウレタンは価格が手ごろな塗料ですが、ほかの種類に比べて塗り替えまでの期間が短めです。費用をおさえたい場面や、細かい部分に向く塗料と考えると分かりやすいでしょう。
アクリルは安く、塗ったあとにツヤが出やすい塗料です。ただし耐用年数(塗り替えまでの目安の年数)が短いため、外壁全体に使われることは減っています。何度も足場を組むことになると、結果として割高になりやすいからです。
ウレタンは、塗る面にしっかりくっつく力(密着性)がよい塗料です。やわらかく扱いやすいので、雨どいや木部など細かい所に向いています。
外壁全体はシリコン以上の塗料で塗り、付帯部(雨どいや破風板など外壁以外の部分)だけウレタンを使う例もあります。安い塗料にも、使いどころがあるということです。
- 数年のうちに建て替えや売却を考えている
- 雨どい・木部など、外壁以外の細かい部分を塗る
- とにかく今回の工事費をおさえたい
シリコン・ラジカルは今の主流?
シリコンとラジカルは、いま外壁塗装でよく選ばれている種類です。価格と長持ちのバランスがよいため、迷ったときの基準にしやすい塗料です。
シリコンは、費用と耐久性のつり合いがとれた塗料です。色の種類も多く、好みの色を選びやすい点も魅力です。見積もりで最初に提案されることが多いのも、このシリコンでしょう。
ラジカルは、正式には「ラジカル制御型」と呼ばれる新しめの塗料です。塗膜が傷むと、外壁を手でなでたときに白い粉がつきます。これをチョーキングと呼び、ラジカルはこの劣化をおさえる工夫がされています。
シリコンとラジカルは、価格の幅が近い塗料です。どちらを提案されても、大きく外れた選び方にはなりにくいでしょう。気になる場合は、なぜその塗料をすすめるのかを業者に聞いてみると安心です。
明日すぐに試せる方法として、自宅の外壁を指でそっとなでてみてください。白い粉がつくなら、塗膜が傷み始めているサインです。塗料の種類を考え始めるよいきっかけになります。
フッ素・無機は長持ちする高グレード?
フッ素と無機は、価格は高めですが長持ちを重視した塗料です。塗り替えの回数を減らしたい方が検討することの多い、高いグレードの塗料です。
フッ素は、高層ビルなど簡単に塗り替えられない建物にも使われています。表面に汚れがつきにくく、ついた汚れも雨で流れやすい性質があります。きれいな見た目を長く保ちたい方に向いています。
無機は、ガラスや石のように紫外線で傷みにくい成分を含む塗料です。日光による劣化に強いため、塗料の中でも長い年数がもつ種類とされています。
どちらも1回の工事費は高くなりますが、塗り替えの間隔が長くなります。長い目で見ると、費用の差が小さくなることもあります。このくわしい計算は、次の章で取り上げます。
- この先も長く今の家に住むつもりでいる
- 日当たりが強く、外壁の色あせが気になっている
- できるだけ塗り替えの手間を減らしたい
ナノテク・光触媒など新しい塗料とは?
樹脂の種類とは別に、新しい技術で性能を高めた塗料もあります。代表的なのが、ナノテク塗料と光触媒塗料の2つです。
ナノテク塗料は、樹脂の粒をごく細かくした塗料です。粒が細かいぶん、すき間の少ない緻密な塗膜になりやすいのが特徴です。汚れが入りこみにくく、見た目を保ちやすいとされています。
光触媒塗料は、日光が当たると表面の汚れを分解する働きをもちます。分解された汚れは雨で流れやすくなるため、外壁をきれいに保ちやすくなります。ただし、日が当たりにくい面では働きが弱まる点は知っておきましょう。
- どの樹脂をもとにした塗料かを聞く
- 商品名とメーカー名を見積書に書いてもらう
- ほかの塗料と比べて何がよいのかを説明してもらう
種類ごとの特徴がつかめたら、次は費用と年数の違いを見ていきましょう。
外壁塗装の種類で費用と耐用年数はどう変わる?

外壁塗装の費用と耐用年数は、塗料の種類によって大きく変わります。単価が高い塗料ほど長持ちしやすく、長く住むなら総額で得になる場合もあります。ここでは目安の数字を使って、種類ごとの差を具体的に見ていきます。
「どの塗料が一番よいか」は、家の状態や住む予定の年数で変わります。そのため、まずは数字の幅をつかみ、自分の家に当てはめて考えるのがおすすめです。
塗料の種類ごとの単価と耐用年数の目安
まずは、塗料の種類ごとの単価と耐用年数の目安を表で確認しましょう。単価は1㎡あたりの塗装費用で、耐用年数は次の塗り替えまでの目安です。
| 塗料の種類 | 1㎡あたりの単価の目安 | 耐用年数の目安 |
|---|---|---|
| アクリル | 1,000〜1,800円 | 5〜8年 |
| ウレタン | 1,700〜2,500円 | 8〜10年 |
| シリコン | 2,100〜3,500円 | 10〜15年 |
| ラジカル | 2,200〜4,000円 | 8〜16年 |
| フッ素 | 2,000〜5,000円 | 15〜20年 |
| ナノテク | 2,400〜5,500円 | 18〜20年 |
| 無機 | 3,500〜5,500円 | 20〜25年 |
表の数字は、一般的な目安です。同じ種類でも商品によって性能が違い、業者によって単価の決め方も変わります。
大まかな傾向として、アクリルやウレタンは安い代わりに塗り替えが早めです。シリコンとラジカルは中間で、フッ素・ナノテク・無機は高い代わりに長持ちします。見積もりを見るときは、この並びを頭に入れておくと比べやすくなります。
なお、ラジカルやフッ素は単価の幅が広めです。これは、同じ名前の塗料でも商品ごとに中身の配合が違うためです。表の数字は、あくまで比べるときの物差しとして使ってください。
30坪の家だと塗料の差でいくら変わる?
30坪の家で計算すると、塗料の違いによる金額の差がイメージしやすくなります。30坪の家の外壁面積は、およそ119㎡が目安です。この面積に単価をかけると、塗装部分のおおよその金額が出ます。
- シリコン:119㎡×2,100〜3,500円=約25万〜42万円
- 無機:119㎡×3,500〜5,500円=約42万〜65万円
- 差額:安い側どうしで約17万円、高い側どうしで約23万円
この金額は、塗る作業と塗料の部分だけです。実際の見積もりでは、足場代や下地処理(塗る前の補修や洗浄)の費用が別にかかります。
ご自宅の面積が分かっている方は、同じように「面積×単価」で計算してみてください。それだけで、提示された金額が目安から大きく外れていないかを確かめられます。面積が分からない場合は、見積書の数量の欄を見れば、業者が何㎡で計算したかが分かります。
坪数ごとの総額や内訳は、外壁塗装の相場を坪数別にまとめた記事で詳しく紹介しています。
30年で比べると高い塗料のほうが安くなることも
1回あたりの金額だけで比べると、安い塗料のほうがお得に見えます。ただ、長く住む予定なら、塗り替えの回数まで含めて比べることが大切です。理由は、足場代が塗り替えのたびにかかるためです。
足場代は、1回あたり数十万円かかります。塗り替えの回数が減れば、そのぶん足場代も少なくて済みます。
たとえば、この先30年住む場合で考えてみます。シリコン(約12年)なら2〜3回、無機(約22年)なら1〜2回の塗り替えになる計算です。塗り替えが1回減れば、足場代と工事費の1回分がまるごと浮きます。
- あと何年住むかを先に決める
- 耐用年数から塗り替えの回数を数える
- 「1回の金額×回数」に足場代も足して比べる
反対に、10年ほどで住み替える予定なら、高い塗料の長持ちを生かしきれないこともあります。住む年数によって、得になる種類は変わると考えておきましょう。
計算するときは、紙に「住む年数」「塗料の耐用年数」「塗り替えの回数」の3つを書き出してみてください。数字を並べるだけで、どの種類が自分の家に合うかが見えてきます。耐用年数は立地や塗り方でも変わるため、少し短めに見積もっておくと安心です。
見積書で塗料名とグレードを確かめる
塗料の種類で金額が変わる以上、見積書に何が書いてあるかを確かめることが欠かせません。「シリコン塗料」とだけ書かれた見積書では、どの商品を使うのか分かりません。同じシリコンでも、商品によって性能や価格に幅があるためです。
書かれていない項目があれば、遠慮せずに業者へ聞いてみましょう。商品名が分かれば、メーカーのカタログで耐用年数を確かめることもできます。
3回塗りのうち、下塗りは外壁と上の塗料をくっつける役目をもつ大切な工程です。中塗りと上塗りで同じ塗料を重ね、必要な厚みを出します。この回数が少ないと、よい塗料を選んでも本来の年数はもちにくくなります。
複数の業者から見積もりを取った場合は、商品名と塗る回数をそろえて比べるのがコツです。条件がそろっていれば、金額の差がどこから来ているのかを見分けやすくなります。
見積書を手元に置いて、この3点に印をつけていくだけでも十分です。分からない言葉があっても、まずは「書いてあるか、書いていないか」を見るところから始めてみてください。
水性・油性など外壁塗装の塗料の分け方はほかにもある?

外壁塗装の塗料は、樹脂のグレードのほかに「薄める液体」「硬化のしかた」「ツヤ」「機能」でも分けられます。同じシリコン塗料でも、この4つの組み合わせで仕上がりや扱いやすさが変わります。見積書に「水性」「2液」「3分ツヤ」などと書かれていたら、この分け方のことだと考えてください。
ここでは、それぞれの違いと、どんな家に向いているかを順に見ていきます。言葉の意味が分かるだけでも、業者の説明がぐっと理解しやすくなります。
水性と油性(溶剤)の違いは?
水性塗料は水で薄める塗料で、油性塗料(溶剤系)はシンナーで薄める塗料です。技術が進んだいまは、住宅の外壁塗装では水性が主流になっています。水性は臭いが少ないので、住みながら工事をする家や、近所が近い住宅地でも使いやすいのが特長です。
一方で油性は、臭いが強いかわりに耐久性やツヤの持ちがよいとされます。そのため、日差しや雨を直接受ける屋根や、鉄部などで使われることが多い塗料です。業界団体の考え方は、日本住宅塗装協会のよくある質問でも確かめられます。
| 項目 | 水性塗料 | 油性塗料(溶剤系) |
|---|---|---|
| 薄める液体 | 水 | シンナー |
| 臭い | 少ない | 強い |
| 耐久性・ツヤ持ち | 十分な性能の商品が増えている | よいとされる |
| よく使われる所 | 住宅の外壁 | 屋根・鉄部など |
どちらが正解というより、塗る場所で使い分けるのが一般的です。外壁は水性、屋根は油性という組み合わせの提案も珍しくありません。
小さな子どもやペットがいる家、在宅で仕事をする方がいる家では、臭いの少なさを重視する人も多くいます。気になる場合は、見積もりのときに「水性で塗れるか」と聞いてみてください。
1液型と2液型の違いは?
1液型は缶を開けてそのまま使える塗料で、2液型は使う直前に硬化剤(塗料を固める薬剤)を混ぜる塗料です。2液型は塗膜(乾いて固まった塗料の膜)が強くなりやすいのが利点です。その分、混ぜる割合や乾燥時間を守ることが大事になります。
2液型は、混ぜたあと決まった時間内に使い切る必要があります。割合がずれると、本来の強さが出ないこともあります。1液型は扱いやすく、作業のムラが出にくい点がよいところです。
見積書では、塗料名のあとに「2液」「1液」と書かれていることがあります。2液型が書かれていれば、業者がどのように混ぜて管理するのかを聞いておくと安心です。
また、塗料の種類にかかわらず、塗るのに向く天気があります。目安は気温5℃以上・湿度85%以下です。雨の日や冬の朝早くに無理に塗ると、乾きが悪くなりやすくなります。工事の日程が天気で延びるのは、仕上がりを守るためだと考えてください。
ツヤあり・ツヤなしの違いは?
ツヤは「ツヤあり・7分・5分・3分・ツヤなし」と段階があり、見た目と汚れにくさが変わります。ツヤありのほうが表面がなめらかで、汚れが付きにくい仕上がりです。ツヤなしは光の反射がおさえられ、落ち着いた上品な見た目になります。
新築のときのような光沢を取り戻したいならツヤあり、和風の家や自然な質感が好みならツヤなし寄りが合います。迷う場合は、中間の5分ツヤや3分ツヤを選ぶ方も多くいます。
- 近所でツヤの違う家を見比べ、好みの雰囲気をメモする
- 業者に、ツヤ違いの塗り板(見本の板)を借りる
- 見本は屋外の日なたと日陰の両方で見る
- 汚れが気になる面(北側など)はツヤを残すか相談する
小さな色見本だけで決めると、塗り終わってから「思ったより光る」と感じることがあります。なるべく大きな見本を外で見て確かめると安心です。
遮熱・低汚染・防カビなど機能で分けると?
塗料には、樹脂のグレードとは別に、暑さや汚れ、カビなどに対応する機能を持たせたものがあります。家の悩みに合う機能を選ぶと、塗り替えの満足度が上がりやすくなります。主な機能は次のとおりです。
- 遮熱:日光の熱をはね返し、壁の温度が上がるのをおさえる
- 断熱:熱を伝えにくくし、室内の暑さ寒さをやわらげる
- 低汚染:汚れが雨で流れ落ちやすい
- 透湿:壁の中の湿気を外へ逃がし、ふくれを防ぐ
- 防カビ防藻:カビや藻(コケのような汚れ)が生えにくい
- 弾性:ひび割れに合わせて伸び、すき間ができにくい
たとえば、日当たりが強く2階が暑い家なら遮熱、北側に緑色の汚れが出やすい家なら防カビ防藻が候補になります。白い雨だれのすじが気になる家なら、低汚染の塗料が向いています。
ただし、機能を足すほど価格は上がりやすくなります。いま困っていることを1〜2つにしぼり、その機能を優先すると選びやすくなります。
- 塗料の臭いがどのくらい気になるか
- ツヤのある仕上がりと落ち着いた仕上がりのどちらが好みか
- 暑さ・汚れ・カビのうち、いちばんの悩みはどれか
この3つを伝えておくと、業者も塗料を提案しやすくなります。複数の業者から見積もりを取るときも、同じ条件で比べやすくなります。
外壁材の種類で外壁塗装の塗料は変わる?

外壁塗装に向く塗料は、外壁材の種類によって変わります。見積もりの前に、自分の家の外壁材が何かを確かめておくと、提案された塗料が合っているか判断しやすくなります。
外壁材は、水の吸いやすさやひび割れの出やすさがそれぞれ違います。そのため、同じ塗料でも相性がよい外壁と、そうでない外壁があります。ここでは、戸建てでよく使われる外壁材ごとに、向いている塗料の考え方を見ていきます。
外壁材が分かっていると、業者の説明も理解しやすくなります。「この外壁だからこの塗料をすすめる」という理由を聞けるかどうかは、提案の妥当さを見分ける手がかりになります。理由をはっきり答えてくれる業者なら、相談もしやすいはずです。
- 新築時の図面や仕様書の「外壁」の欄を見る
- 板を並べたような継ぎ目があれば、サイディングの可能性が高い
- 継ぎ目が無く、表面がざらざらしていればモルタルが多い
- 分からなければ、現地調査のときに業者に聞いてみる
窯業系サイディングに合う塗料は?
窯業系サイディング(セメントを主な材料にした板状の外壁材)は、いまの戸建てで多く使われている外壁材です。サイディングには、ツヤのある塗料や汚れに強い塗料が向いています。
サイディングは表面の塗膜が傷むと、板そのものが水を吸って反りや割れが起きやすくなります。ツヤのある塗料は表面がなめらかで、汚れや水がたまりにくいのが利点です。汚れが雨で落ちやすい低汚染の塗料も、きれいな見た目を保ちやすくなります。
もう一つ大切なのが、板と板の継ぎ目にあるシーリング(ゴム状の目地)です。シーリングが傷んでいると、塗料が良くてもすき間から水が入ります。塗装と同じタイミングで、打ち替えも一緒に考えておくと安心です。
モルタルに合う塗料は?
モルタル(セメントと砂を水で練って塗り固めた外壁)は、継ぎ目の無い仕上がりが特徴です。モルタルはひび割れが出やすいので、伸びる弾性塗料や防水性の高い塗料が向いています。
モルタルは乾燥や建物の小さな揺れで、髪の毛ほどの細いひび割れが出ることがあります。弾性塗料(ゴムのように伸び縮みする塗料)は、ひび割れに合わせて塗膜が伸びるため、すき間ができにくくなります。
ひび割れをそのままにして塗ると、すぐに同じ場所が割れてしまうこともあります。塗る前に、ひび割れを埋める補修をしてくれるかどうかも、見積もりで確かめておきたい点です。
- 晴れた日に、家の外壁をぐるりと一周見て回る
- 窓のまわりや角など、ひびが出やすい所を重点的に見る
- 気になったひびは、スマートフォンで写真に残しておく
- 現地調査のときに、その写真を業者に見せて相談する
ALCに合う塗料は?
ALC(軽い気泡コンクリート板)は、中に細かい気泡を含んだ軽い外壁材です。ALCは水を吸いやすいので、塗料を選ぶときは防水性を重視することが大切です。
ALCは軽くて断熱性がある一方で、表面の塗膜が傷むと内部に水がしみ込みやすい性質があります。水を吸った状態が続くと、冬に凍って表面が傷むこともあります。防水性の高い塗料で、表面をしっかり守ることが長持ちのポイントです。
ALCもサイディングと同じく、板の継ぎ目にシーリングがあります。塗装と合わせてシーリングの状態も見てもらうと、水が入る原因をまとめて減らせます。
ALCの家では、塗料のグレードだけで選ばないことも大切です。高い塗料でも防水性が弱ければ、ALCの弱点を補えません。見積もりのときは「この塗料は水をどのくらい防げるか」を、業者に聞いて比べてみてください。
金属やタイルの外壁はどうする?
金属の外壁(ガルバリウム鋼板など)とタイルの外壁は、ほかの外壁材とは考え方が少し違います。金属はさび止めの下塗りが必要で、タイルは基本的に塗装をしない外壁材です。
金属の外壁は、さびが出ると穴があく原因になります。そのため、上に塗る塗料の前に、さび止めの下塗りをすることが欠かせません。見積書に、さび止めの工程が入っているかを確かめておきましょう。
タイルは表面そのものが傷みにくく、塗装で守る必要がほとんどありません。手入れとしては、目地(タイルのすき間)の補修や、透明な塗料で表面を守るクリア塗装を検討するのが一般的です。タイルの家で全面の塗装をすすめられたときは、理由をていねいに聞いてみてください。
- 窯業系サイディング:ツヤあり・低汚染の塗料と、シーリングの打ち替え
- モルタル:弾性塗料や防水性の高い塗料と、ひび割れの補修
- ALC:防水性を重視した塗料と、継ぎ目のシーリング
- 金属:さび止めの下塗りをしてから塗装
- タイル:目地の補修やクリア塗装を検討
自分の家に合う外壁塗装の種類はどう選ぶ?

自分の家に合う外壁塗装の種類は、「あと何年住むか」「家の立地」「予算の上限」の3つで決まります。そこに屋根や付帯部(雨どい・軒天などの外壁以外の部分)とのバランスを加えると、候補はぐっとしぼれます。
塗料のグレードは、高ければよいというものではありません。暮らし方に合わない塗料を選ぶと、性能を使い切る前に家を手放したり、逆に早く塗り替えが必要になったりします。ここでは、判断の順番に沿って選び方を見ていきます。
あと何年住むかから逆算する
塗料選びでいちばん大事なのは、これからその家に住む年数から逆算して考えることです。塗料ごとの耐用年数(塗り替えまでのおおよその期間)と、住む年数を重ねてみると、ちょうどよいグレードが見えてきます。
たとえば、10年以内に住み替えや売却の予定があるなら、シリコン程度で十分なことが多いです。高いフッ素や無機を選んでも、長持ちする分の価値を自分では受け取れないためです。
反対に、この先も長く住み続けるつもりなら、フッ素や無機で塗り替えの回数を減らす考え方が向いています。塗り替えのたびに足場や下地処理の費用がかかるので、回数が減るほど長い目で見た負担は軽くなります。
- 10年以内に住み替え・売却の予定がある:シリコン程度で十分なことが多い
- まだ決めていない:シリコンかラジカルを基準に考える
- この先も長く住み続ける:フッ素・無機で塗り替え回数を減らす
「何年住むか分からない」という方も多いと思います。その場合は、家族で一度だけでも話し合っておくと、業者の提案を聞くときの判断がぶれにくくなります。
立地や環境で選ぶ
同じ塗料でも、家の建っている場所によって傷み方は変わります。劣化が早い環境なら、耐候性(日光や雨風に耐える力)や低汚染の塗料を検討するのがおすすめです。
とくに注意したいのは、海が近く潮風が当たる家です。塩分が外壁に付きやすく、塗膜(塗料が乾いてできる膜)の傷みが早まります。幹線道路沿いで排気ガスが多い家も、外壁の汚れが目立ちやすくなります。
- 海が近く、潮風が当たる
- 幹線道路沿いで、排気ガスが多い
- 夏と冬、昼と夜の寒暖差が大きい
- 日当たりが強く、紫外線を受けやすい面がある
寒暖差が大きい地域では、外壁がのび縮みをくり返すため、ひび割れや塗膜のはがれが起きやすくなります。自宅がこうした条件に当てはまるなら、見積もりのときに業者へ伝えておくと、環境に合った提案を受けやすくなります。
また、家の面ごとに傷み方が違うこともあります。南側や西側は日差しを強く受け、北側はコケやカビが出やすい傾向です。塗る前に家のまわりをひと回りして、気になる面をメモしておくと、業者との話がスムーズに進みます。
予算の上限から選ぶ
住む年数と立地で候補を出したら、次は予算です。先に「ここまでなら出せる」という上限を決めておくと、塗料の候補を無理なくしぼれます。
上限を決めずに見積もりを取ると、高いグレードをすすめられたときに迷いやすくなります。反対に安さだけで選ぶと、早く塗り替えが必要になり、結果として出費がかさむこともあります。
予算は、塗料代だけでなく工事全体の総額で考えておくと安心です。足場や下地処理、シーリング(目地のゴム状の部分)の打ち替えも費用に入ります。
見積書を受け取ったら、塗料の行だけを見るのではなく、合計の金額が上限に収まっているかを確かめましょう。塗料のグレードを下げなくても、工事の組み合わせを見直すだけで上限に近づけられることがあります。
上限の中でグレードを一段上げられるなら、住む年数とのバランスを見て検討してみてください。逆に上限を超えそうなら、外壁と屋根の時期をそろえるなど、別の方法で全体の費用をおさえる道もあります。
屋根や付帯部とそろえて考える
外壁の塗料だけを見て決めると、あとで困ることがあります。屋根や付帯部とグレードをそろえて考えると、次の塗り替え時期を合わせやすくなります。
屋根は日光や雨を真上から受けるので、外壁より傷みやすい部分です。そのため、屋根には外壁と同じか、一段上のグレードの塗料を選ぶのがひとつの考え方です。こうすると、次に塗り替える時期を外壁とそろえやすくなります。
外壁と屋根を同時に塗れば、足場を組むのが1回で済みます。足場の費用は塗り替えのたびにかかるため、別々に工事するよりも全体の負担をおさえやすくなります。
- 外壁をシリコンにするなら、屋根はシリコンかその一段上を選ぶ
- 外壁と屋根は同じ工事でまとめて塗り、足場を1回にする
- 雨どいや軒天などの付帯部も、同じ工事で一緒に塗っておく
塗料の種類を決めるまでの手順
ここまでの考え方を、実際に動く順番にまとめました。この流れに沿えば、初めての方でも塗料の種類を落ち着いて決められます。明日からでも、まず1つめの「外壁を見る」から始めてみてください。
候補を2つにしぼってから見積もりを取ると、業者ごとの提案を同じものさしで比べられます。候補が多すぎると、金額の差が塗料の違いなのか、工事内容の違いなのかが分かりにくくなるためです。
塗料の種類が決まったら、次は色選びです。人気の色や失敗しにくい選び方は、外壁塗装の人気色ランキングと色選びのコツにまとめています。種類と色をあわせて考えると、仕上がりのイメージもつかみやすくなります。
外壁塗装の種類選びで失敗しないための注意点は?

外壁塗装の種類選びで大切なのは、塗料のグレードだけでなく、塗り方や家全体のバランスまで含めて考えることです。同じ塗料を選んでも、工事の中身や比べ方しだいで仕上がりと満足度は大きく変わります。ここでは、種類を決める前後で気をつけたい4つの点をまとめます。
高いグレードがいつも正解とは限らない?
高いグレードの塗料は長持ちしやすい一方で、家全体の傷み方とそろっていないと、かえって費用がかさむことがあります。外壁は丈夫でも、屋根や雨どい、軒天(のきてん=屋根の裏側の天井部分)などが先に傷むケースは少なくありません。
たとえば外壁だけを無機塗料にして、屋根はふつうのグレードのままにしたとします。この場合、屋根の塗り替えのために、外壁がまだきれいなうちに足場を組み直すことがあります。足場代は1回あたり数十万円かかるため、長持ちする塗料を選んだ効果が薄れてしまいます。
大切なのは「一番高い塗料」ではなく「家全体で次の塗り替え時期がそろう塗料」を選ぶことです。住む年数や予算と合わせて、無理のないグレードを考えてみてください。
反対に、安さだけで低いグレードを選ぶのも注意が必要です。塗り替えの間隔が短くなると、そのたびに足場代や工事費がかかります。目先の金額と、住む年数の中でかかる合計の両方を見て決めると、あとで後悔しにくくなります。
- 外壁だけ高いグレードで、屋根や付帯部は安いグレードになっている
- あと数年で住み替えや売却を考えている
- 予算の大半が塗料代で、下地の補修費が少なく見える
耐用年数はあくまで目安と考えるべき?
カタログや見積書にある耐用年数は、決まった条件のもとでの目安であり、その年数もつと約束するものではありません。実際の持ちは、立地や日当たり、下地処理、塗り方によって変わります。
特に影響が大きいのが下地処理と塗る回数です。高圧洗浄で汚れを落とし、ひび割れを補修してから塗らないと、塗料がしっかり密着しません。また、外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。
どれほど高い塗料でも、下地処理や3回塗りが不十分だと、本来の年数より早くはがれや色あせが出ることがあります。耐用年数の数字だけで比べず、工程がきちんと見積もりに入っているかをあわせて確かめると安心です。
塗料の名前と缶の数はどう確かめる?
同じ「無機」「フッ素」という名前でも、成分の割合や性能は商品ごとに違うため、商品名まで確かめることが大切です。見積書に「無機塗料」とだけ書かれていると、どの商品を使うのかが分かりません。
見積書を受け取ったら、塗料のメーカー名と商品名が書かれているかを見ましょう。そのうえで、メーカーのカタログや公式ページで、その商品の耐用年数や特徴を確かめておくと判断しやすくなります。
工事が始まったら、使う塗料の缶や、各工程を写真で残してもらうと安心です。下塗り・中塗り・上塗りのそれぞれの様子が分かれば、決めた種類の塗料を、決めた回数だけ塗ったかを確かめられます。
複数の業者の提案を比べるとどんな良いことがある?
同じ条件で2〜3社の提案を比べると、すすめられた塗料の種類と金額が妥当かどうかを判断しやすくなります。1社だけの見積もりでは、その塗料が自分の家に合っているのか、価格が高いのか安いのかが見えにくいものです。
比べるときは、塗る面積や塗料のグレード、塗る回数など、条件をできるだけそろえて依頼するのがコツです。条件がばらばらだと、金額の差が塗料の違いなのか工事の範囲の違いなのかが分からなくなります。
業者ごとにすすめる塗料が違ったときは、その塗料を選んだ理由を聞いてみてください。外壁材や立地、住む年数をふまえて説明してくれる業者なら、提案の中身を納得して比べられます。
また、お住まいの自治体によっては、外壁塗装に使える助成金が用意されている場合もあります。条件や申請の流れは、外壁塗装の助成金の条件と申請の流れで詳しく紹介しています。予算を考える前に、使える制度がないか確かめておくとよいでしょう。
- 塗料のメーカー名と商品名
- 下塗り・中塗り・上塗りの回数
- 塗る面積(数量)と1㎡あたりの単価
- 下地処理や付帯部の塗装が含まれているか
- 工事後の保証の内容と年数
よくある質問
Q. 外壁塗装で一番おすすめの塗料の種類はどれですか?
A. 迷ったときは、費用と耐用年数のバランスがよいシリコン系を基準に考えるのがおすすめです。そのうえで、あと何年住むかと予算の上限で上下を決めます。
10年以内に住み替えや売却の予定があれば、シリコン程度で十分なことが多いです。長く住むなら、フッ素や無機で塗り替えの回数を減らす考え方もあります。一番よい種類は、家ごとの条件で変わります。海の近くや交通量の多い道路沿いなら、耐候性や低汚染の塗料も候補に入れてみてください。
Q. 安いアクリル塗料でも外壁塗装は大丈夫ですか?
A. 塗ること自体はできますが、アクリルは耐用年数が短く、いまの外壁ではあまり使われなくなっています。塗り替えが早く来るため、そのたびに足場代もかかります。
1回の工事は安く見えても、長い目で見ると割高になることがあります。外壁全体よりも、短い期間だけ持てばよい場面で検討するとよいでしょう。見積もりでアクリルを出されたら、シリコンとの差額もあわせて聞いてみると比べやすくなります。
Q. 水性と油性の塗料はどちらを選べばいいですか?
A. 外壁なら、臭いが少なく、いまの主流になっている水性塗料で困ることは少ないです。技術が進み、水性でも外壁に十分使えるようになっています。
油性(溶剤系)は臭いが強いぶん、耐久性やツヤ持ちがよい特徴があります。屋根や傷みやすい部分では、油性が提案されることもあります。業者に「なぜこちらを選ぶのか」を聞いて決めると安心です。
Q. 前回と違う種類の塗料に変えても大丈夫ですか?
A. 前回シリコンで今回は無機にするなど、塗料の種類を変えること自体は珍しくありません。大切なのは、いまの外壁の状態と外壁材に合っているかどうかです。
劣化の具合によって、合う下塗りの塗料や下地処理の方法が変わります。見積もりのときに前回の塗料が分かれば伝え、今回の塗料と下塗りの組み合わせを確かめておきましょう。
Q. 塗料の種類によって工期は変わりますか?
A. 工期は、塗料の種類よりも、塗る回数や乾燥の時間、天気に左右されやすいです。下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りは、どの塗料でも基本になります。
2液型の塗料は、決められた乾燥時間を守る必要があります。また、気温5℃以上・湿度85%以下が塗るのに向く条件の目安です。雨や寒さが続くと、そのぶん工期が延びることがあります。乾く前に次の層を塗ると長持ちしにくいので、急がせないことも大切です。
まとめ
外壁塗装の種類は、塗料に含まれる樹脂の違いで決まります。迷ったらシリコン系を基準にして、住む年数と予算で上下のグレードを決めるのが選びやすい方法です。
アクリルからフッ素・無機まで、塗料はグレードが上がるほど単価が高くなります。そのぶん、耐用年数(塗り替えまでの目安の年数)は長くなる傾向です。たとえばシリコン系は10〜15年、無機系は20〜25年がひとつの目安です。
ただし、実際の持ちは立地や下地処理、塗り方によって変わります。表の年数は、比べるための物差しとして使うのがおすすめです。
10年以内に住み替えや売却を考えているなら、シリコン系で十分なことが多いです。反対に、この先も長く住むつもりなら、フッ素や無機で塗り替えの回数を減らす考え方もあります。
海の近くや交通量の多い道路沿いなど、傷みやすい環境かどうかもあわせて考えましょう。外壁材によって相性のよい塗料が違う点も、見積もりの前に押さえておきたいところです。
この記事の要点を、最後にもう一度ふり返っておきます。
- 塗料の種類は主に樹脂で分かれ、アクリル・ウレタン・シリコン・ラジカル・フッ素・ナノテク・無機などがあります
- 単価の高い塗料ほど長持ちしやすく、長く住むなら塗り替えの回数と足場代を減らせることがあります
- 住む年数・立地・外壁材の3つから、自分の家に合う種類をしぼり込みます
- 屋根や付帯部とグレードをそろえると、次の塗り替え時期を合わせやすくなります
- 見積書では、塗料の商品名・塗る回数・数量まで確かめます
- 同じ条件で複数の業者に見積もりを取り、提案と金額を比べます
塗料の種類が見えてきたら、次は工事全体の費用感をつかむ段階です。足場代を含めた金額の目安は、別の記事でまとめています。外壁塗装の相場はいくら?坪数別の費用と内訳・安くするコツもあわせてご覧ください。
同じ「シリコン塗料」でも、業者によって選ぶ商品や塗り方、金額は違います。1社だけの提案では、その内容が妥当かどうか判断しにくいものです。
2〜3社の見積もりを並べると、塗料の種類と金額の相場感がつかめてきます。気になる方は、まず無料の見積もりで比べるところから始めてみてください。
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