外壁塗装業者の選び方|依頼先5種の違いと悪徳業者の見分け方

外壁塗装の業者は、自社施工の塗装専門業者を中心に、3社ほどから見積もりを取って比べるのが失敗しにくい選び方です。比べる軸は、資格・許可・保証・見積もりの細かさです。1社だけで決めず、同じ条件で並べて比べることが、費用と仕上がりの両方で納得するための近道になります。
とはいえ、外壁塗装は10年以上に一度の工事なので、どこに頼めばよいのか迷うのは自然なことです。依頼先は大きく5種類あり、ハウスメーカー・工務店・ホームセンターや家電量販店・リフォーム会社・塗装専門業者に分かれます。それぞれ得意なことや費用の傾向が違います。
また、訪問販売によるリフォーム工事の相談は、国民生活センターに毎年多く寄せられています。「すぐ塗らないと危ない」と言われて、不安になった方もいるかもしれません。
- 依頼先5種類の特徴と違い
- 業者によって費用が変わる理由
- 業者選びで確かめたいポイント
- 悪徳業者の手口と見分け方
- 見積もりと契約で気をつけること
外壁.JP編集部が、初めての塗り替えでも判断しやすいよう、順番に整理してお伝えします。気になる所から読み進めてみてください。
外壁塗装の業者はどこに頼む?依頼先5種類の特徴と違い

外壁塗装の依頼先は、大きく分けて5種類です。どこに頼んでも塗装はできますが、実際に塗る人が誰かと手数料の有無で、費用や提案の中身が変わります。
まずは、それぞれの依頼先の得意なことと、気をつけたい点を知っておきましょう。違いが分かると、見積もりを頼む先を自分の家に合わせて絞りやすくなります。
- ハウスメーカー
- 工務店
- ホームセンターや家電量販店
- リフォーム会社
- 塗装専門業者
ハウスメーカーに頼む場合の特徴は?
ハウスメーカーの強みは、家を建てたときの記録がそろっていることです。図面や外壁材の仕様が手元にあるため、家の状態に合わせた話が早く進みます。
名の通った会社が窓口になるので、会社としての信用がある点も安心材料です。建てた会社にそのまま任せたいという方には、気持ちのうえでも頼みやすい相手でしょう。
一方で、実際の工事は下請けの塗装店が行うことが多くあります。その場合、間に入る手数料の分だけ金額は高くなりやすいです。
また、選べる塗料や色があらかじめ決まっていることもあります。好きな塗料を指定したい方は、選べる範囲を最初に聞いておくと安心です。
工務店に頼む場合の特徴は?
工務店は、家の工事全般を地元で請け負う会社です。地域で長く営業している所は顔が見えやすく、気軽に相談できるのが魅力です。
大きな会社に比べると、色や塗料を選ぶ自由度が比較的高い傾向があります。家のことをまとめて相談できる、かかりつけのような存在になってくれることもあります。
ただし、塗装を外部の職人に頼む工務店では、その分の手数料が上乗せされます。工務店は大工仕事が中心のことも多く、担当者によって塗装の知識や実績に差があります。
相談するときは「塗装は自社で行いますか」と一言たずねてみてください。あわせて、これまでの外壁塗装の事例を見せてもらうと判断しやすくなります。
ホームセンターや家電量販店に頼む場合は?
ホームセンターや家電量販店は、買い物のついでに店頭で相談できる手軽さが特徴です。料金が決まったプランが用意されていることもあり、費用の見通しを立てやすい依頼先です。
分割払いが選べたり、お店のポイントが付いたりする場合もあります。普段から使っているお店なら、最初の一歩を踏み出しやすいでしょう。
実際の施工は、お店と提携している塗装店が担当します。受付の方は塗装の専門家とは限らず、説明の詳しさに差が出やすい点に気をつけましょう。
受付と現場の間に人が入るため、細かい要望が職人まで伝わりにくいこともあります。色の希望や気になる箇所は、紙に書いて渡しておくと行き違いを防げます。
リフォーム会社に頼む場合は?
リフォーム会社は、家のさまざまな工事をまとめて引き受けられる依頼先です。屋根や雨どいなどの工事を外壁塗装と一緒に頼めるのが、大きな利点です。
外壁塗装では、家の周りに足場(作業用の仮の床と柱)を組みます。ほかの外まわりの工事と同じ時期にまとめれば、足場を1回で済ませられます。足場代を何度も払わずに済むので、全体の費用を節約しやすくなります。
注意したいのは、会社によって得意な工事が違うことです。キッチンや浴室など室内の工事が中心で、外壁の経験は多くない会社もあります。
依頼する前に、外壁塗装の施工実績がどのくらいあるかを確かめておきましょう。自宅と似た家の事例があれば、仕上がりも想像しやすくなります。
塗装専門業者に頼む場合は?
塗装専門業者は、その名のとおり塗装を本業にしている会社です。塗料と施工の知識が豊富なので、家の傷み具合や希望に合った提案を受けやすい依頼先です。
自社の職人が施工する業者なら、間に入る会社がないため中間の手数料がかかりません。同じ工事内容でも費用を抑えやすいのは、この仕組みによるものです。
塗料の種類ごとの特徴も詳しく説明してもらえます。事前に知っておきたい方は、外壁塗装の塗料7種の違いと選び方も参考にしてください。
気をつけたいのは、会社の規模や信用が外から見えにくいことです。施工事例や口コミをいくつか見て、安心して任せられる相手かを確かめましょう。
5種類の違いを表にまとめると、次のとおりです。費用の傾向は、手数料がかかりやすいかどうかで比べています。
| 依頼先 | 特徴 | 費用の傾向 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ハウスメーカー | 家の記録がそろい、会社の信用がある | 高くなりやすい | 建てた会社に任せたい人 |
| 工務店 | 地元で相談しやすく、塗料を選ぶ自由度が比較的高い | 外注なら上乗せあり | 家のことをまとめて相談したい人 |
| ホームセンター・家電量販店 | 店頭で相談でき、決まったプランがある | プランで分かりやすい | 手軽に相談を始めたい人 |
| リフォーム会社 | 屋根などほかの工事とまとめて頼める | まとめると足場代を節約 | 外まわりを一度に直したい人 |
| 塗装専門業者 | 塗料と施工に詳しく、提案を受けやすい | 自社施工なら抑えやすい | 費用と仕上がりの両方を重視する人 |
- 実際に塗る職人が自社か下請けかを聞く
- 外壁塗装の施工事例を見せてもらう
- ほかの工事もあるならまとめて相談する
- 屋根の傷みも気になる家:リフォーム会社か塗装専門業者に、屋根とまとめて相談する
- 建てた会社の保証が残っている家:まずハウスメーカーに話を聞き、ほかの依頼先とも比べる
- 費用をなるべく抑えたい家:自社施工の塗装専門業者を中心に見積もりを頼む
どの依頼先にも、向き不向きがあります。ひとつに決めつけず、気になる依頼先から2〜3社に声をかけて比べてみるのがおすすめです。
明日からできることとして、まずは家の図面や前回の工事の書類を探してみてください。築年数や外壁材が分かると、どの依頼先に相談しても話がスムーズに進みます。
外壁塗装の業者によって費用はなぜ変わる?中間マージンと相場の目安

外壁塗装の費用が業者で変わる主な理由は、中間マージン・塗料のグレード・塗る回数・足場や下地処理の範囲の違いです。金額だけでなく、その差が「何から生まれているか」を知ると、見積もりを冷静に比べられます。
ここでは、金額の差が出るしくみと、一般的な費用の目安、安すぎる見積もりに気をつけたい理由を順に見ていきます。
同じ工事でも業者で金額が変わるのはなぜ?
同じ家・同じ広さでも、見積もりの金額が数十万円ちがうことは珍しくありません。差の多くは、工事の中身と、工事を誰がどの流れで行うかの違いから生まれます。
たとえば、耐久年数の長い塗料を選べば材料費は上がります。外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本ですが、回数や手間のかけ方は業者で異なります。
さらに、ひび割れの補修や古い塗膜の除去など、下地処理(塗る前の下準備)をどこまで行うかでも金額は変わります。見積もりを比べるときは、総額の前に次の点をそろえて見るのが近道です。
- 下請けに出す分の手数料(中間マージン)があるか
- 塗料のグレード(耐久年数や機能)
- 塗る回数と工程の手間
- 足場を組む範囲
- 下地処理をどこまで行うか
総額が高い見積もりでも、工程が丁寧で長持ちする内容なら、結果として割安になる場合もあります。塗り替えの間隔が延びれば、次の工事までの年数で割った1年あたりの負担は軽くなるからです。
反対に、総額が安くても数年で塗り直しが必要になれば、足場代を含めた費用をもう一度払うことになります。目の前の金額だけで決めず、何年もつ工事なのかもあわせて考えておきましょう。
中間マージンはどこで生まれる?
中間マージンは、元請け(最初に工事を受ける会社)が塗装店に工事を発注するときに生まれます。元請けの利益が工事代に上乗せされるため、同じ工事でも自社施工の業者より高くなりやすいのです。
流れとしては「施主→元請け→塗装店」となり、実際に塗るのは塗装店の職人です。自社の職人が施工する業者なら、この上乗せ分はかかりません。
元請けと塗装店の間にさらに別の会社が入ると、そのぶん上乗せが重なることもあります。見積書の金額だけでは、間に何社入っているかは分かりません。気になるときは、工事の流れを直接たずねてみるのが確実な方法です。
ただし、中間マージンを悪いものと決めつける必要はありません。元請けには、窓口を一本にまとめてくれる便利さや、大きな会社が保証を受け持つ安心という価値もあります。
費用をできるだけ抑えたいのか、窓口や保証の安心を重視したいのかで、合う依頼先は変わります。見積もりの段階で「実際に施工するのは自社の職人ですか」と一言たずねておくと、金額の理由が分かりやすくなります。
30坪の家の費用の目安はどのくらい?
一般的な相場として、延床30坪の家の外壁塗装はおよそ60〜100万円ほどが目安とされています。塗料の種類や外壁の劣化の具合で上下するため、あくまで比べるための目安として見てください。
| 延床面積 | 費用の目安 |
|---|---|
| 20坪 | 約40〜70万円 |
| 30坪 | 約60〜100万円 |
| 40坪 | 約80〜130万円 |
費用の中で大きな割合を占めるのが足場代です。足場は外壁でも屋根でも必要になるため、屋根塗装なども一緒に行えば足場を1回で済ませられます。
数年おきに別々に工事をすると、そのたびに足場代がかかります。屋根や雨どいも傷んでいるなら、まとめて見積もりを取ると総額を比べやすくなります。
坪数ごとの内訳や安くするコツは、外壁塗装の坪数別の相場と費用の内訳で紹介しています。まとまった費用の支払いが心配な方は、外壁塗装をローンで払うときの種類と注意点も参考にしてください。
安すぎる見積もりは何が危ない?
相場より極端に安い見積もりは、どこかで工程や材料を削っている可能性があります。安さの理由を説明できない業者は、慎重に考えたほうが安心です。
外壁塗装は、仕上がった直後は見た目の差が分かりにくい工事です。手を抜いた部分は、数年たってからはがれやふくれとして表に出てきます。
- 下塗りを省いて、塗る回数を減らしている
- 塗料を規定より薄めて使っている
- 塗料の乾燥時間を守らずに次の工程へ進む
「今だけ大幅値引き」「足場代無料」といった言葉にも注意が必要です。足場は組むたびに費用がかかる項目です。無料と言われた分は、ほかの項目に含まれているか、工事のどこかが削られていると考えられます。
- 「なぜこの金額でできるのですか」と理由をたずねる
- 塗る回数と塗料の名前が書かれているか見る
- ほかの業者の見積もりと工程の数を比べる
理由をていねいに説明してくれる業者なら、安さにも納得できるはずです。答えがあいまいな場合は、その場で決めずに比べる時間を取りましょう。
外壁塗装の業者選びで確かめたい7つのポイントとは?

外壁塗装の業者選びで確かめたいのは、資格・許可・実績・口コミ・保証・アフター・説明の7つです。どれか1つで決めず、7つをまとめて見比べることで、信頼できる業者を選びやすくなります。
価格だけで選ぶと、仕上がりや工事後の対応で後悔することがあります。まずは全体を一覧で確かめ、そのあと1つずつ見ていきましょう。
- ①資格:塗装技能士などの資格を持つ職人がいるか
- ②建設業許可:「塗装工事業」の許可を持っているか
- ③施工実績・事例:自宅と似た家の事例があるか
- ④口コミ・評判:実際に頼んだ人の声が十分にあるか
- ⑤保証:範囲・期間・書面の有無がはっきりしているか
- ⑥アフター:工事後の定期点検などがあるか
- ⑦説明と対応:質問に分かりやすく答えてくれるか
このあとの見出しでは、似た内容をまとめて5つに分けて説明します。見積もりの前に確かめておくと、業者を絞り込む時間も短くなります。
塗装技能士などの資格を持つ職人はいる?
職人の技術を外から判断する目安になるのが、塗装技能士という資格です。塗装技能士は国の技能検定の1つで、職人の腕前を確かめる材料になります。
技能検定は、中央職業能力開発協会が実施しています。塗装技能士には1級・2級・3級があり、数字が小さいほど上の級です。
1級を受けるには長い実務経験が要り、目安は7年ほどです。そのため1級の職人がいる業者は、経験を積んだ人が現場に立つと考えられます。
ただし、塗装の仕事は資格が無くても行えます。資格が無いから腕が悪い、というわけではありません。あくまで判断の目安の1つとして見るのがよいでしょう。
- 「御社には塗装技能士の資格を持つ方はいますか」
- 「実際にうちの工事に来る職人さんは、どなたですか」
- 「資格証を見せていただくことはできますか」
会社に資格者がいても、自宅の現場に来るとは限りません。誰が施工するのかまで聞いておくと、思っていたのと違うという食い違いを防げます。
建設業許可を持っている?
建設業許可は、国や都道府県が経営や技術の条件を確かめたうえで出す許可です。許可を持つ業者は、一定の経営や技術の要件を満たしている目安になります。
国土交通省によると、請負金額が500万円以上(税込)の工事には建設業許可が要ります。塗装工事は「塗装工事業」という区分にあたります。
一般的な戸建ての外壁塗装は、500万円未満で収まることが多い工事です。そのため、許可が無い業者に頼んでも違法ではありません。
それでも許可を持っているかどうかは、業者を比べるときのよい材料になります。許可を取るには、経営の経験や技術者の配置などの条件を満たす必要があるためです。
許可を持つ業者には許可番号があり、国土交通省の検索システムで調べられます。ホームページや名刺、見積書に書かれた番号を確かめてみましょう。
- 許可番号が名刺・見積書・ホームページに書かれているか
- 許可の種類に「塗装工事業」が入っているか
- 検索システムで調べた会社名と所在地が一致するか
施工事例と口コミは十分?
施工事例と口コミは、その業者の仕事ぶりを知るための手がかりです。自宅と似た外壁材や色の事例を見せてもらうと、仕上がりを想像しやすくなります。
事例を見るときは、写真の数だけでなく中身にも目を向けましょう。工事前と工事後の写真がそろい、使った塗料や工期が書かれていると参考になります。
サイディング(板状の外壁材)か、モルタル(セメントを塗った壁)かでも塗り方は変わります。自宅と同じ外壁材の事例があれば、その業者は扱いに慣れていると考えられます。
口コミは、実際に頼んだ人の感想が分かる貴重な情報です。仕上がりのほか、担当者の対応や工事中の近所への気配りにも触れた声は参考になります。
ただし、口コミは書いた人の好みや状況に左右されます。良い声だけ、悪い声だけを見て決めず、全体の傾向をつかむようにしましょう。
- 工事前と工事後の写真がそろっているか
- 自宅と同じ外壁材・似た色の事例があるか
- 使った塗料や工期が書かれているか
- 口コミに対応の良し悪しが具体的に書かれているか
保証とアフターサービスの中身は?
保証は、工事のあとに不具合が出たとき、無料で直してもらえるかを決める大切な約束です。期間の長さだけでなく、何が・どこが対象か、書面でもらえるかまで確かめましょう。
たとえば「保証10年」とあっても、対象が外壁だけのこともあります。雨どいや軒天(屋根の裏側の天井部分)などの付帯部が対象外なら、そこの不具合は自費で直すことになります。
対象になる症状も確かめておきたい所です。塗膜(塗料が乾いてできた膜)のはがれやふくれが対象か、色あせは対象外かなど、業者によって違いがあります。
口約束の保証は、あとで言った言わないの食い違いになりがちです。保証書を書面で受け取れるか、契約の前に聞いておきましょう。
| 確かめる項目 | 見ておきたい中身 |
|---|---|
| 保証の期間 | 何年か、塗料によって年数が変わるか |
| 対象の症状 | はがれ・ふくれなど、どの不具合が対象か |
| 対象の場所 | 外壁だけか、付帯部も含むか |
| 書面の有無 | 保証書を発行してもらえるか |
| 定期点検 | 工事後に点検があるか、いつ行うか |
アフターサービスでは、工事後の定期点検があるかを確かめます。1年後や数年ごとに点検に来てくれる業者なら、小さな不具合にも早めに気づけます。
説明が分かりやすく質問に答えてくれる?
担当者の説明の分かりやすさは、工事を安心して任せられるかを見る大事な目安です。専門用語をかみくだき、こちらの質問にていねいに答えてくれる業者は信頼しやすいです。
外壁塗装は、工事が始まってからも相談することが多い工事です。色の確認や追加の補修など、細かなやり取りが続きます。最初の説明で話しにくいと感じたら、その後も同じ悩みを抱えがちです。
反対に、質問をはぐらかす、メリットばかり話して注意点を言わない業者には気をつけましょう。分からない点を聞いたときの答え方に、その業者の姿勢が表れます。
同じ質問への答え方を並べると、業者ごとの違いがよく見えます。7つのポイントを1つずつ確かめながら、納得できる業者を選びましょう。
外壁塗装の悪徳業者はどう見分ける?よくある手口と断り方

外壁塗装の悪徳業者は、不安をあおって契約を急がせる、ほかの業者と比べさせないという共通点で見分けられます。手口を前もって知っておけば、訪問営業を受けても落ち着いて対応できます。
この章では、まずトラブルの件数を数字で確かめます。そのうえで、よくある手口と断り方、困ったときの相談先を順に紹介します。
外壁塗装のトラブルはどのくらい起きている?
外壁塗装を含むリフォーム工事のトラブルは、毎年数千件から1万件ほどの相談が寄せられている身近な問題です。決して一部の人だけに起きる特別な話ではありません。
国民生活センターには、PIO-NET(全国の消費生活センターの相談を集めた仕組み)があります。これによると、訪問販売によるリフォーム工事の相談は2020年に8,785件ありました。翌2021年には9,753件に増えています。
この数字は屋根・壁・塗装などの工事を合わせたものです(出典:国民生活センター「点検商法(リフォーム工事)」)。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターの統計年報2022も見てみましょう。2021年度のリフォームに関する相談は11,046件ありました。これは直近10年で最も多い件数です(出典:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)。
外壁塗装は一度に数十万円から百万円を超えるお金が動く工事です。しかも、仕上がりの良し悪しは塗ってから数年たたないと分かりにくい面があります。だからこそ、契約の前に業者を見極めることが大切です。
訪問営業でよくある手口は?
悪質な訪問営業の手口は、「不安をあおる」「お得に見せる」「考える時間を与えない」の3つに分けられます。どれも、冷静に比べる前に契約させようとする点が共通しています。
- 外壁の状態を大げさに伝え「すぐ塗らないと危ない」と不安をあおる
- 「今日決めてくれれば半額にします」と大幅な値引きを持ちかける
- 「足場代は無料にします」とお得さを強調する
- 「とりあえず署名だけ」と契約を急がせる
- 工事の前に代金の全額を払うよう求める
- 工事中に「ここも傷んでいた」と追加工事を持ちかけ、高く請求する
大幅な値引きや足場代無料は、一見するととてもお得に感じます。ただ、最初の金額を高めに見せておいて値引いているだけのこともあります。
また、どこかで材料や工程を削って帳じりを合わせている恐れもあります。値引きの大きさではなく、工事の中身と総額で判断しましょう。
注意したいのは、訪問営業だけではない点です。事業者紹介サイトを通じて来た業者でも、他社と比べたいと伝えたのに契約を迫られた例があります。ほかの業者と比べることを嫌がる業者は、どんな経路で知り合ったとしても避けるのが安心です。
- 作業着の人が来て「近くで工事をしていて、お宅の外壁のひびが気になった」と話しかけてくる
- 「このままだと雨水が入って家が傷みます」と言い、その日のうちの契約をすすめてくる
- 「今月中なら特別価格」と、期限を区切って決断を急がせる
このような流れになったら、その場では決めないと心に決めておきましょう。本当に傷んでいるかどうかは、ほかの業者に見てもらえば確かめられます。
その場で契約しないための断り方は?
断り方のコツは、「家族と相談します」「ほかにも見積もりを頼んでいます」と伝え、その場で署名しないことです。理由を細かく説明する必要はありません。短い言葉で、はっきり伝えるほうが相手も引き下がりやすくなります。
屋根に上がる点検を断るのは、上で何をしているかを家の人が確かめられないためです。撮った写真が本当に自宅のものか分からないこともあります。点検は、自分から選んで頼んだ業者にしてもらいましょう。
インターホン越しに対応して、玄関を開けないのもひとつの方法です。名刺やチラシだけ受け取り、「必要なときはこちらから連絡します」と伝えれば十分です。
もし勢いで契約してしまっても、あわてる必要はありません。訪問販売などで結んだ契約は、あとから解約できる場合があります。くわしい日数や手続きは、このあとの契約の章で紹介します。
困ったときの相談先は?
困ったときは、消費者ホットライン188か、住まいるダイヤルに相談できます。どちらも、ひとりで悩まずに専門の相談員の意見を聞ける窓口です。
| 相談先 | どんな窓口か | こんなときに |
|---|---|---|
| 消費者ホットライン188 | 電話で188にかけると、近くの消費生活センターにつながります | 契約を急がされた、解約したいなど契約のトラブル |
| 住まいるダイヤル | 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの窓口で、国土交通大臣が指定した相談窓口です | 工事の中身や見積もりの金額、仕上がりについての相談 |
相談するときは、契約書や見積書、業者の名刺、やり取りのメモを手元に用意しておくと話が早く進みます。いつ、だれに、何を言われたかを書き留めておくと役に立ちます。
なお、「火災保険を使えば自己負担なしで直せる」と持ちかける業者もいます。保険が使えるかどうかは、損害の原因や契約の中身で決まります。条件は外壁塗装に火災保険は使えるかを解説した記事で確かめてから判断しましょう。
少しでも「おかしいな」と感じたら、契約の前でも後でも早めに相談するのが大切です。早いほど、取れる手段が多く残ります。
外壁塗装の業者に見積もりを頼むとき、何を比べればよい?

外壁塗装の業者の見積もりで比べたいのは、金額の合計だけではなく「工事の中身」と「業者の説明の丁寧さ」です。同じ条件で3社ほどから見積もりを取り、項目・塗料・回数・面積をそろえて見比べると、業者の質が見えてきます。
ここでは、見積もりを頼む社数の考え方から、見積書のどこを見るか、現地調査で業者を見極めるコツまでを順に紹介します。見積書の読み方をさらに詳しく知りたい方は、外壁塗装の見積もりの見方と相見積もりのコツもあわせてご覧ください。
何社に見積もりを頼むのがよい?
見積もりを頼む業者は、3社ほどが目安です。3社から見積もりを取ると、工事の中身と金額の相場感がつかみやすくなります。1社だけでは、その金額が高いのか安いのかを判断する材料がありません。
2社だと、金額に差があったときにどちらが妥当か決めにくいことがあります。3社あれば、極端に高い所や安い所が目立つため、真ん中あたりの水準が見えてきます。
一方で、5社、6社と増やしすぎると、現地調査の立ち会いや説明を聞く時間が大きく増えます。見積書の書き方も業者ごとに違うので、比べる作業そのものが負担になりがちです。
依頼する業者を選ぶときは、種類を少し混ぜるのも一つの方法です。たとえば、自社で施工する塗装専門業者を2社、リフォーム会社を1社といった組み合わせです。こうすると、提案の幅や金額の違いを比べやすくなります。
また、見積もりを頼むときは、各社に同じ希望を伝えることが大切です。「外壁と雨どいを塗りたい」「10年以上もつ塗料を考えている」など、条件をそろえておくと比べやすくなります。
見積書のどの項目を比べる?
見積書で比べるのは、工事の項目がそろっているかと、塗料・回数・面積・単価の4つです。合計金額が近くても、含まれている工事の範囲が違えば、実際の価値は大きく変わります。
まずは、次のような主な項目が見積書に入っているかを確かめましょう。抜けている項目があれば、別料金なのか、そもそも工事をしないのかを業者に聞いておくと安心です。
- 足場の組み立て・解体
- 飛散防止シート・養生(塗料が付かないよう覆う作業)
- 高圧洗浄(汚れやコケを水で落とす作業)
- 下地処理(ひび割れの補修など)
- 下塗り・中塗り・上塗り
- 付帯部(雨どい・軒天など)の塗装
- 廃材処分・清掃
項目がそろっていることを確かめたら、次は中身を比べます。比べたい所は、次の表のとおりです。
| 比べる所 | 見るポイント |
|---|---|
| 塗料 | 製品名とグレードが書かれているか |
| 塗る回数 | 下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りになっているか |
| 塗る面積 | ㎡で数量が書かれ、各社で大きくずれていないか |
| 単価 | 1㎡あたりの金額が分かるか |
| 保証 | 保証の年数が書かれているか |
塗る回数は、3回塗りが一般的です。また、塗る面積が業者によって大きく違う場合は、測り方を聞いてみましょう。面積が多めに見積もられていると、単価が安く見えても合計は高くなることがあります。
「一式」表記が多いときはどうする?
「一式」ばかりの見積書は、数量と単価を出してもらうよう頼むのがよい方法です。「一式」は中身が見えないため、何にいくらかかっているのかを他社と比べられません。
たとえば「外壁塗装工事 一式 80万円」とだけ書かれていると、塗る面積も、使う塗料も、塗る回数も分かりません。これでは、ほかの業者の見積もりと並べても判断がつきにくいです。
ただし、足場の組み立てや清掃など、細かく分けにくい項目に「一式」が使われるのは珍しくありません。気をつけたいのは、塗装の本体部分まで「一式」でまとめられている場合です。
- 「外壁の塗る面積を㎡で書いてもらえますか」
- 「使う塗料の製品名を教えてください」
- 「下塗り・中塗り・上塗りの単価を分けて出してもらえますか」
このように頼んで、快く出し直してくれる業者は、説明をきちんとする姿勢があるといえます。反対に、はぐらかしたり不機嫌になったりする場合は注意が必要です。説明に納得できなければ、その業者とは契約しないという判断も大切です。
現地調査で業者の質を見るには?
現地調査は、業者の質を直接見られる大切な機会です。外壁の傷みを写真で見せながら説明してくれるか、調査に時間をかけているかに注目しましょう。
たとえば、ひび割れやチョーキング(外壁を触ると白い粉が手に付く状態)を、写真を撮って見せてくれる業者は信頼しやすいです。自分では見えにくい高い所の状態も分かり、なぜその工事が必要なのかが納得しやすくなります。
一方で、外から少し眺めただけで、すぐに金額を出す業者には注意が必要です。外壁の状態を細かく見ていなければ、下地処理の量や必要な工事を正しく見積もるのは難しいからです。
同じ家を見ても、業者によって説明の丁寧さや提案の中身は違います。金額だけでなく、こうした対応の差も比べる材料にすると、納得して任せられる業者を選びやすくなります。
外壁塗装の業者と契約する前後に気をつけることは?

外壁塗装の業者との契約で大切なのは、約束をすべて書面に残し、支払いと引き渡しの流れを先に決めることです。業者選びがうまくいっても、契約の中身があいまいだと後からトラブルになりやすくなります。
ここでは、契約書で確かめる項目、クーリング・オフ、工期と支払い、工事中と完了時の確認の4つに分けて整理します。
契約書で確かめておくことは?
契約書で確かめたいのは、見積もりで聞いた内容がそのまま書面に書かれているかどうかです。営業の人から口で聞いた話は、書面に無ければ後で「言った・言わない」になりがちです。
署名の前に、少なくとも次の項目がそろっているかを見てください。
- 工事の範囲(外壁だけか、雨どいや軒天などの付帯部も含むか)
- 使う塗料の製品名と、塗る回数
- 金額の合計と内訳、追加費用が出る条件
- 工期(着工日と完了の予定日)
- 支払いの方法と時期
- 保証の内容・期間と、解約するときの条件
たとえば「付帯部もサービスで塗ります」と言われた場合は、その一文を契約書か覚え書きに足してもらいましょう。口約束だけのことは、遠慮せず書面にしてほしいと伝えて大丈夫です。
契約書と見積書は、同じ内容になっているかを並べて見比べると確実です。塗料の製品名や塗る回数が見積書と違っていれば、署名の前に直してもらいましょう。
書面にするのを嫌がる業者は、それだけで判断の材料になります。分からない言葉があれば、その場で意味を聞いてから署名するのが安心です。
クーリング・オフは使える?
訪問販売で外壁塗装を契約した場合は、契約書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができます。クーリング・オフとは、理由を問わず契約をやめられる制度のことです。
家に来た営業の人の話を聞き、その場の勢いで署名してしまうことはあります。あとで冷静に考え直したときに使えるのが、この仕組みです。手続きの流れや書き方は、国民生活センターのクーリング・オフの解説で確かめられます。
ただし、どの契約でも使えるわけではありません。自分から業者を呼んで見積もりを頼んだ場合や、店舗に出向いて契約した場合などは、対象にならないことがあります。
- 8日の数え方は、契約書面を受け取った日が1日目です
- 通知は書面や電磁的な記録で送り、控えを残しておきます
- 自分から呼んだ業者との契約は対象外のことがあります
- 迷ったら消費者ホットライン188に相談できます
対象になるか分からないときは、日数が過ぎる前に早めに相談するのがよい方法です。
工期と支払いのタイミングは?
一般的な戸建ての外壁塗装は、足場の組み立てから片付けまで1〜2週間ほどが工期の目安です。塗料は雨の日に塗れないため、天気によっては予定より延びることもあります。
反対に、2〜3日で終わるような短すぎる工程表には注意が必要です。塗料の乾燥時間を守っていない、重ね塗りを省いているといった恐れがあるからです。工程ごとの日数の考え方は、外壁塗装の期間は何日?工程別の日数と延びる理由で詳しく紹介しています。
支払いは、契約前に時期と金額をはっきり決めておきましょう。工事が始まる前に全額を払う形は避けたほうが安心です。
| 支払いの形 | 安心しやすさ | ひとこと |
|---|---|---|
| 完了後に全額を払う | 高い | 仕上がりを確かめてから払える |
| 着工時と完了時に分ける | 高い | 業者の材料費にも配慮した形 |
| 着工前に全額を払う | 低い | 工事が止まったときに困りやすい |
分けて払う場合も、完了時に払う分が残っていれば、仕上がりに気になる所があったときに直してもらう話をしやすくなります。
工事中と完了時に確かめることは?
工事中と完了時は、工程ごとの写真と、自分の目での仕上がりの確認が大切です。下塗りや中塗りは上から塗り重ねると見えなくなるため、写真が残っていると安心できます。
工事の前に、次のような流れで業者に頼んでおくと進めやすくなります。
- 工程ごとの写真をもらえるか、契約前に聞いておく
- 完了時の立ち会いの日を、工程表に書いてもらう
- 保証書を受け取る時期を、契約のときに確かめる
近所へのあいさつは、工事が始まってからの関係にも関わります。業者が行かない場合は、自分でも一声かけておくと気持ちよく工事を進められます。
よくある質問
外壁塗装の業者選びで、よくいただく質問を4つ取り上げ、短くお答えします。気になる所から読んでみてください。
Q. 地元の業者と大手はどちらがよいですか?
A. 地元か大手かよりも、自社で施工するか、保証と説明の中身で比べるのがおすすめです。大手には会社の信用や窓口が一つで済む安心があります。一方で、実際の工事を下請けの塗装店が行うと、その分の手数料が上乗せされやすくなります。
地元の業者は、自社の職人が塗る所なら費用を抑えやすいです。ただし、会社の様子が外から見えにくいこともあります。近くにあれば、工事後の点検や小さな不具合にも来てもらいやすいでしょう。どちらの場合も、施工事例や保証書の内容を見せてもらい、納得できる所を選びましょう。
Q. 業者に見積もりを頼んだら、断りにくくなりませんか?
A. 見積もりは無料のことが多く、比べたうえで断っても問題ありません。何社かを比べるのは、外壁塗装ではごく一般的な進め方です。業者の側も、ほかの会社と比べられることを前提に見積もりを出しています。
断るときは「今回は見送ります」と短く伝えれば十分です。理由をくわしく説明する必要はありません。電話が苦手なら、メールで伝えてもかまいません。比べることを嫌がったり、しつこく契約を迫ったりする業者なら、その時点で候補から外してよいでしょう。
Q. 塗り替えは、いつ頃業者に相談すればよいですか?
A. 塗り替えの目安は、一般に前回の塗装から10〜15年ほどです。ひび割れやチョーキング、カビが出てきたら、相談を考えるタイミングです。チョーキングとは、外壁を手で触ると白い粉が付く状態のことです。
年数は使った塗料によって変わります。くわしくは外壁塗装は何年ごと?塗料別の目安と劣化サインで解説しています。また、工事が混みやすい時期は予約が取りにくくなります。余裕をもって、工事したい時期の2〜3か月前から動き始めると安心です。
Q. 助成金が使えるかどうか、業者に聞いてもよいですか?
A. 業者に助成金の経験を聞くのはよいことですが、最後は自治体の窓口で確かめましょう。助成金の条件は自治体ごとに違います。そのため、業者の話だけで判断すると、条件に合わないこともあります。
特に、着工前に申請することが条件になっている場合が多いです。契約や着工を急ぐと、使えたはずの助成金を逃すことがあります。条件や申請の流れは、外壁塗装の助成金はいくら?条件・申請の流れと注意点にまとめています。
まとめ
外壁塗装の業者選びは、塗装専門業者を中心に3社ほどの見積もりを中身で比べるのが失敗しにくい方法です。金額の安さだけで決めず、資格や許可、保証、説明の分かりやすさまで含めて判断しましょう。
依頼先には、ハウスメーカー・工務店・ホームセンターや家電量販店・リフォーム会社・塗装専門業者の5種類があります。それぞれに安心感や手軽さなどの良さがあります。
一方で、実際の工事を下請けに出す場合は、その分の中間マージンが費用に上乗せされます。同じ広さの家でも金額が変わるのは、この手数料と、塗料や塗る回数など工事の中身が違うためです。
業者を見極めるときは、この記事で紹介した7つのポイントを順に確かめてみてください。読み返しやすいように、要点を下にまとめます。
- 依頼先5種類の違いと、中間マージンが生まれる仕組みを知っておく
- 資格・建設業許可・施工事例・口コミ・保証・アフター・説明の7点で確かめる
- 不安をあおる、契約を急がせるなどの手口に気づいたら、その場で署名しない
- 困ったときは消費者ホットライン188や住まいるダイヤルに相談する
- 見積もりは3社ほどから取り、塗料名・塗る回数・面積と単価を比べる
- 契約書の中身を書面で確かめ、訪問販売ならクーリング・オフも覚えておく
悪徳業者の多くは、考える時間を与えないように話を進めてきます。「家族と相談します」「ほかの業者にも頼んでいます」と伝えるだけでも、落ち着いて比べる時間をつくれます。
また、訪問販売で契約してしまった場合でも、契約書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができます。契約後に不安を感じたときは、ひとりで抱えこまずに相談窓口を頼ってください。
外壁塗装は、この先長く家の見た目と傷みにくさを左右する工事です。まずは複数の業者から話を聞き、金額と提案を見比べるところから始めてみてはいかがでしょうか。
見積もりは無料のことが多く、比べたうえで断っても問題ありません。外壁.JP編集部としても、納得できる一社に出会うための材料として、比べる手間をかけることをおすすめします。
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